胃がんリスク検査(ABC検診)とは?
血液検査で、将来の胃がんリスクを予測します。
胃がんリスク検査(ABC検診)は、採血だけで胃の健康状態を調べ、胃がんになりやすいかどうかをリスク分類する新しい検診です。「ペプシノゲン検査(胃粘膜の萎縮度を測定)」と「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査(ピロリ菌感染の有無を測定)」の2つの検査結果を組み合わせて、A~Dの4つのグループに分類し、あなたの胃がんリスクを評価します。
この検査は胃がんそのものを見つける検査ではありませんが、ご自身の胃の状態を知り、適切な精密検査(内視鏡検査など)を受けるきっかけとなります。

このページの目次
ABC検診は、このような方にお勧めです
ご自身の胃の健康状態を把握するために、ぜひご活用ください。

胃がんのリスクを知りたい方
採血だけで手軽に胃がんのかかりやすさを評価できます。まずは自分のリスクを知ることから始めましょう。

バリウムや内視鏡検査を受けたことがない方
特に40歳以上で一度も胃の検査を受けたことがない方には、最初のステップとしてお勧めです。

ご家族に胃がんの経験者がいる方
血縁者に胃がんの経験者がいる場合、ご自身の胃の状態を確認しておくことが大切です。
検査でわかること(A~Dのリスク分類)
検査結果は4つのグループに分類され、それぞれのリスクに応じた対策をご提案します。
<ABC判定区分> | ヘリコバクター・ピロリ抗体価検査 | ||
---|---|---|---|
陰性(-) | 陽性(+) | ||
ペプシノゲン検査 | 陰性(-) | A群 | B群 |
陽性(+) | D群 | C群 |
ピロリ菌の感染がなく、胃粘膜の萎縮も見られない健康な状態です。胃がん発生のリスクは低いですが、定期的な検診は続けましょう。
ピロリ菌に感染している可能性が高い状態です。胃がんのリスクはA群より高いため、一度内視鏡検査を受け、ピロリ菌の除菌治療を検討することをお勧めします。
ピロリ菌感染により胃粘膜の萎縮が進行した状態です。必ず、医師の診察を受けましょう。胃がんが発生しやすい危険な状態のため、必ず専門医による内視鏡検査を定期的に(年1回)受ける必要があります。
胃粘膜の萎縮がさらに進行し、ピロリ菌も棲めないほど胃酸の分泌が低下した状態です。胃がんのリスクが極めて高いため、定期的な内視鏡検査(半年に1回~1年に1回)が不可欠です。
ABC検診 メリット・デメリット
検査の利点と注意点をご理解の上、受診をご検討ください。
メリット
- 早期発見と予防
- 高リスク群に分類された場合、定期的な内視鏡検査や治療が推奨されるため、早期発見と予防が可能です。
- 簡便さ
- 血液検査を主とするため、受診者の負担が少なく、比較的簡便に実施できます。
- 費用対効果
- 結果次第で胃カメラ検査を受けることで胃がんの早期発見につながり、進行してから見つかるよりも治療費の削減になる可能性があります。
デメリット
- 精度の限界
- ABC検診は胃がんのリスクを評価するものの、実際のがんの有無を確定するものではありません。高リスクと判断された場合でも必ずしも胃がんがあるとは限らず、逆に低リスクと判断されても絶対に安全とは言い切れません。
- 追加検査の必要性
- 高リスクと分類された場合、内視鏡検査などの追加検査が必要になることがあります。これにより、さらなる時間や費用がかかる可能性があります。
- 偽陽性・偽陰性のリスク
- 他の検査と同様に、ABC検診でも偽陽性(がんではないのに高リスクとされる)や偽陰性(がんがあるのに低リスクとされる)のリスクが存在します。
- ピロリ菌の除菌後後の評価
- ピロリ菌の除菌後は、ABC検診の結果が正確にリスクを反映しないことがあります。ピロリ菌の除菌後の方は、原則として胃カメラによる胃がん健診を受けることを推奨します。
まとめ
胃がんリスクの早期把握のために
胃がんリスク検査(ABC検診)は、胃がんの早期発見と予防において重要な役割を果たしますが、限界やデメリットも存在します。検査結果に一喜一憂せず、必要に応じて医師と相談し、適切な対策を講じることが大切です。胃がんのリスクが気になる方(胃バリウム・胃カメラが苦手な方)は、ぜひ一度、ABC検診を受けてみてはいかがでしょうか。
受診にあたっての注意事項
安全・正確な検査のために、以下の点にご注意ください。
下記に該当する方は、検査結果が正しく評価できない場合があります
- 食道・胃・十二指腸の病気で治療中の方
- 胃を切除する手術を受けた方
- 腎不全の方、または腎機能が低下している方
- プロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)を2ヶ月以内に服用された方
- ピロリ菌の除菌治療を受けた方